WHY Multimodality Design is effective?
なぜ五感を統合させたデザインが良いのか。
感性デザインとは、視覚だけでなく、五感を統合して設計することで、より情緒的な体験を提供するものです。 ユーザーの感性に基づく価値を言語化、または数値化し、客観的指標を設定して体験を形にしていく革新的なデザイン手法です。 異なる分野のデザイナーと連携し、視覚と他の感覚(モダリティ)を効果的に組み合わせることで、感情に訴えかけ、記憶に残る体験を生み出します。
研究から、実装へ。
10年以上の継続的な研究から、社会の中で私たちが体感する価値をどのように五感のデザインに変換できるのかを試験的に探りながら、ホテルやハイブランドの香りブランディングの設計、オフィスや店舗等での空間アロマや音響システムの導入、高齢者レジデンスや病院へのバイオフィリックデザインの実装等を行なってきました。
私たちはKANSEI Design ネットワークで蓄えられた多様なデータ、また、さまざまな事例で得られた経験値をもとに、効果的なマルチモダリティデザイン(統合した五感のデザイン)を加速していきます。
感性という切り口から新しい価値創出を探求し、
そして、調査分析した感性価値の構造をベースに、 ブランドガイドラインや デザインガイドラインなども設定し、
プロダクト開発、空間デザイン、
コミュニケーションデザインまで
あらゆる分野でお手伝いします。

KANSEI Design
ネットワーク
多様で複雑な感性を分析しデザインに変換していくため、アートとサイエンスの視点から人間の感性を探求する2社と協力し、包括的なアプローチでサポートしています。
さらに、グループ内の2社に加え、世界的に活躍するデザインパートナーたちが参画し、五感を駆使したエビデンスベースの感性デザインの協業体制を構築しています。

KANSEI PROJECTS COMMITTEE
私たちのネットワークのひとつKANSEI Projects Committee(KPC)はマルチモダル(多感覚)領域での研究を推進する独立した研究機関であり、さまざまな分野でのデータを収集・分析しています。企業から依頼される感性における研究開発の内容に応じて、専門家がその都度プロジェクトチームを組み、マーケティング・芸術・心理学・工学・感性工学・医学・教育学など、様々な学術分野の知見を融合させて研究を進めています。そのデータは科学的に解析され、人が嗅覚、視覚、聴覚、触覚、味覚などの刺激に対する生理機能変化、心理反応、行動変容を定量化した研究結果を蓄えています。それは様々な空間で人がより快適に過ごしたり、幸せを感じる時間を得たり、ヒト・モノとの良好な関係性を築いたり、生産性の高い仕事をこなすべき時に、どのような五感の環境設定を行うかの最も重要な基礎となります。
https://kanseiproject.com/NEKIRIKI
さらにアート集団NEKIRIKIは、五感を使ったアートを通して感受性を豊かにし、直感的に感じたことを表現していく非言語領域を担当しています。言葉にまだならない段階のひらめきや感覚、また、新規事業のシーズなどを具体的な形にしていく工程にアーティストが参加することで、感覚的領域にあるアイディアやイメージを言語や香り・音などの表現にアウトプットしていくプロセスをサポートしています。
https://nekiriki.com/

感性デザインに必要な
クリエイティブプロセス
私たちは、五感を効果的に組み合わせて
商品やサービスの新しい体験価値を 提供したいと考える企業様に対し、 さまざまなデザイン分野を統合し、 横断的なコンサルティングの提供や、 体験型ブランディングの設計をしています。感性デザインは、企業が提供したい体験価値を効果的に五感で表現する手法です。そのため、多岐にわたるデザイン分野と連携しながら進めるクリエイティブプロセスが必要です。
マルチモダリティデザイン(複数の感覚要素を組み合わせたもの)は、視覚のみのデザインよりも感情的で記憶に残る体験を提供します。人間の五感のバランスを考えた環境設計は、空間の快適さを向上させるだけでなく、心の安全性や身体の安定を促進し、活力を高める効果もあります。
私たちは、ユーザーの「感性価値」に基づいた五感のコンセプトデザインを実施し、各分野のデザイナーや設計者と連携して、施工までの全プロセスを一貫して管理することで、感性デザインに必要な全てをサポートします。

「感性価値」を反映した
コーポレートアイデンティティ(CI)の 構築や、 感情的な結びつきを生む 香りのブランディング、 ユーザーとの情緒的な関係性を深める 五感のプロダクト開発なども 行うことができます。
感性デザインを
取り入れることで、
言葉よりも効果的に
伝わることもあります。
さまざまな分野でマルチモダリティの研究事業開発が進んでいますが、その効果を最大限に引き出せている企業はまだ少ないのが現状です。香りや音、光などを単体で取り入れても、同一空間で五感の設計が統合されていないためです。
何となくここちよい香りや音、光などを取り入れても、それらが空間で具体的に何の価値を生み出しているのかは理解されません。私たちはユーザーに提供したい体験価値に対して最適な香り、音、光を客観的指標を基に選択する、エビデンスベースの五感の設計をしています。
マルチモダリティデザインは複雑かつ繊細であり、ユーザーの五感刺激の閾値(感知しやすい五感の種類や心地よいと感じる強さ)も個人差があるため、専門家によるガイドラインをデザインしたり、マルチセンサリー研修プログラムを実施しています。
私たちが取り組んでいるのは、感性という広大な概念を形にすることではなく、空間と時間を限定した上でユーザーが「感じる価値」や企業やブランドが提供したい「感性価値」を明確にし、五感を統合的にデザインしていくことです。効果的な五感の組み合わせをエビデンスベースで設計しながら、あらゆるデザイン領域の専門家とチームを組んで具現化していくことです。

感性デザインのプロセスマネジメント

グローバル
パートナーシップ
感性工学や感性デザインという総合的アプローチは日本を起源に持つ学術的分野ですが、海外ではものづくり、環境設計、人材育成等あらゆる分野で感性は感覚的に活用されています。
私たちは世界で認められている突出したスペシャリストとパートナーシップを結び、感性デザインの手法を用いてプロジェクトを実行することで、私たちのスキルや知見も常にグローバルにアップデートし、より実践的なものに進化させています。
Oliver Heath
事例

WORK STYLING
三井不動産
未来の働き方を考えるWORK STYLINGでは、多様性を受け入れ、インスピレーションのわくオリジナルブレンドの香りを空間に設置。ブランドコンセプトに合わせて調香された香りは、素の自分に戻って新しいひらめきを感じやすくします。科学的なアロマの効果性検証から、働く時の集中やクリエイティブを促すフレグランスを独自で開発しました。

第一昭福丸
臼福本店
新しいスタイルの遠洋漁業船では、陸から離れ、昼夜なく漁をする船員さんたちのバイオリズムを考えて、グリーンの香りを導入。グリーンの香りに含まれる成分がストレス軽減効果を持つ研究結果を基に、船員さんたちを落ち着ける精神状態に。気仙沼の事務所でも同じ香りを使うことで、船員さんたちを想う時間を作り、五感のデザインで家族を繋いでいます。

HAL YAMASHITA
ウォーターマーク
人が出会い、縁が繋がる場所は風通しや気の流れが良いことから、龍が通るという伝説があります。世界のトップレストランHAL YAMASHITA東京本店には、伝説そのままに、店内の気の流れがまるで龍の通り道のように気持ちよく、たくさんの人が集います。そこで、縁起の良い龍をイメージしたオリジナルブランドのほのかな香りで、空間を演出しています。

VERDENIA
大和リース
自然との繋がりを感じる空間設計により人に安らぎと活力を与えるBiophilic Design (バイオフィリックデザイン)。この分野でグローバルに活躍するOliver Health(英国)の日本パートナーとして専門的なコンサルティングを提供するだけでなく、バイオフィリックデザインが生み出す創出価値を整理し、ブランドネーム・ロゴデザインも含めたブランドガイドラインを作成。

e・ver
中国電力
e・verは中国電力エネルギア総合研究所が開発した循環型養液栽培方式の緑化技術ブランド。植物が人間に与える癒し効果を検証し、目には見えない電力がエネルギーとなって植物が育っていく感覚を感性デザインの手法から分析。言葉で表現しにくい新技術のブランドエクイティーや感性価値の分析を元にネーミング・ロゴデザインに変換するブランディングを実施。

さざえ堂
大正大学
大正大学の象徴的な建築物でもあるさざえ堂は、心おだやかに過ごせるお香をベースにした空間アロマと、ハイレゾリューションの自然音を空間全体にデザインされており、山の中にいるかのような臨場感を体験でき、安らぎが得られます。リアルな森にある高周波数の音で空間を満たすことにより、生理機能的に身体がリラックスする研究結果が出ています。
会社概要
設立 | 2017年(2023年1⽉11⽇にKANSEI Design Limited. に社名変更予定) |
住所 | 〒155-0031 東京都世⽥⾕区北沢4-4-10 NEKIRIKI HOUSE |
代表者 | 柳川 舞 |
資本金 | 1100万円 |
取引銀行 | みずほ銀行 |
業務内容 | 感性デザインを適応させた商品・空間・コミュニケーションデザインの企画と | 制作・施⼯
主な取引先 | 三井不動産・⽇建設計・凸版印刷・⽇本タバコ産業・ロート製薬・東京建物・清和ビジネス・⼤和リース・オムロンなど |

第一昭福丸
臼福本店
宮城県気仙沼市。昔から遠洋漁業が盛んなこの町では、海外にマグロ漁船が出航するときに「出船式」が港で行われる。一旦出航すると1年は戻ってこない。家族は離れ離れになる。港では太鼓が鳴り響き、港で見送る人々と船にいる船員さんたちを繋ぐカラフルな紙テープが港の風になびく。「頑張ってー!」とみんな船が見えなくなるまで大漁旗を降って盛大に送り出す。
そんな町の株式会社臼福本店の代表取締役社長、臼井壯太朗さんから、長期間海上で漁をしている船員さんたちをなごませる香りを漁船に導入したいとのご相談を受けた。


臼福本店の「船員さんに優しい漁船の設計」は、水産庁のプロジェクトとして新しい漁業の形を提示するものであり、船自体の設計から内装のデザインまで、これまでの漁船とは全く異なっており、2020年度グッドデザイン賞を受賞した。臼福本店は限られた海洋資源を責任を持って流通させていくプログラムに積極的に参画したり、後継者が少なく労働負荷の高い漁業者の労働環境を整備したりと、持続可能な水産業を力強く推進している企業である。
漁船にアロマを入れるという画期的な発想は私たちにもなかった。
漁船にアロマ?というリアクションもあるけれど、アロマに使用する香り成分はそもそも緑の葉や森の木、花などから抽出されていて、自然界の中にある芳香成分を中心にブレンドされている。
人間は常に鼻の穴が開きっぱなしで、呼吸と一緒に沢山の香りを受信している。
朝起きた時の味噌汁の香り。春を予感する花の香り。様々な香りによって気分が変わる。お味噌汁の香りを嗅ぐと懐かしい思い出がよみがえり、春の花の香りで心が軽くなったようにも感じる。香り成分の科学的な研究も進んでいるが、私たちは船員さんたちがホッとしたり、長期間海の上でいる状態でも孤独を感じないような香りを探った。


香りの選択や調香は、香りによって変化させたい人間、時間、空間を深く観察することから始まる。
船員さんたちは家族と離れて、陸から離れた状態でずっと水に浮かんでいる。マグロの群が見つかると、昼も夜も関係なく漁を行う。この環境は人工衛星で活動する宇宙飛行士や、昼も夜もわからずに働く潜水艦の乗組員に似ている。宇宙飛行士は地球に戻ってきたときに、緑の香りを嗅いで、地球に戻ってきたんだと実感するという。潜水艦の中は常に真っ暗で、曜日もわからなくなるから、金曜日はカレーにして体に時の流れを感じさせるという試みもある。私たちが漁船の船員さんたちの香りに選択したのは、緑の葉の香りをベースにしたブレンドである。忙しい船員さんたちが日々の生活の中で安らげる時間を作るために、自動でアロマディフューザー(拡散機)をタイマー設定して、長期間陸に上がらなくても、陸の自然を感じられるように設定した。そうすることで、宇宙飛行士が地球への生還を緑の匂いで感じるように、海で頑張っている船員さんたちを香りで陸と繋ぐことができた。
緑の葉の芳香成分は、ストレス軽減効果があるという科学的実験も行われており、私たちの香りもそれらの研究結果をベースに、調香師がバランスを整えよりここちよい香りに仕上げた。
香りが導入されて再び臼福本店に状況を聞いてみた。遠く離れた漁船で香っているグリーンの香りは気仙沼のオフィスでも、残された家族の自宅でも使用されている。今では船員さんをホッとさせるだけでなく、船員さんの家族も同じ香りを嗅ぐことで、頑張っている船員さんたちを想うきっかけとなっているという。
香りは、広い海上にぽつんと浮かぶ船と緑の陸地を繋いだだけでなく、家族の絆にもなっている。
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